低学年は読書の素地を作る時期
芋づる式読書MAPの高学年向けを作ってから1年。その手前の時期に何を読ませたらいいのかというご相談を受け、中学受験が本格的に始まる前に、こんな本にたくさん触れておいてほしいなと思うものを選びました。
高学年で塾通いをするようになると、毎週テキストを通して半強制的に良い文章に触れることになるわけですが、(中学受験国語の良さの一つだと思っています)低学年のうちは、ご家庭で選んだ本に向き合う時間はたっぷりあるはずです。この時期に得た読書体験が素地になり、「読む」という行為を抵抗なく楽しめることを願っています。
以前の記事はこちら⇒本読み記録番外編/芋づる式読書MAPのご縁と読み聞かせ
毎月10冊ほどの本を実際に手に取りながら、見た目からはわからないテーマの奥深さや、シリーズもののキャラクターの魅力など、存分に楽しんだ1年でした。
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選書も楽しみのうち
小学校から学年ごとにおすすめ本リストが配られることもあるようですが、それまでの読書体験によって「読める」本に幅があったり、まだまだ興味の範囲が狭かったりと活用しきれていいない印象でした。
ちなみに、いわゆる伝統校と言われる私立小学校が推薦する本のリストをいくつか拝見しましたが、しっかりとそれぞれの校風と重なるところがありました。改めて本選びも環境選びだな、と感じた次第です。
今回のmap も5冊の本を軸に色々なジャンルの本をつなげてみました。左上にある、動物が主人公のものは幼年童話ならでは。親しみやすい動物たちの絵に、温かくて情緒にあふれたストーリーが魅力的です。比較的、話の起承転結がはっきりしているものを選んでみました。
また、中学受験につながる、という目線で言えば左下の『ねずみくんのきもち』から広がる「気持ち」をテーマにしたあたりがおすすめです。自分が感じる気持ちをまだ上手く言語化できない年代ですから、こんな気持ちがあるね、お友達はこう思うかもしれないね、などと声掛けをして「気持ち」の言葉の引出しに言葉を少しずつ増やしてあげてください。
家族、姉妹をテーマにしたものから古典の名作へ、お料理の本から冒険ものへと、わたしの感じたままに芋づるをつなげましたので、自分だったらこうつなげるなぁと読み終わった後にアレンジをしてみるのも楽しいかもしれません。
取り上げたものは文字が多めの絵本から、絵は挿絵程度のものまで様々です。書店や図書館で中身を覗き、手に取りながら選んでみてほしいです。そして、一人で読めないからまだいいや、ではなくぜひ読み聞かせを。
タイトルに入れた「幼年童話」について正確な定義は無いようですが、ちょうど文字が読めるようになってきた就学前から、小学校低学年くらいまでの間の子どもたちを対象とした読み物と考えています。絵本から、文字だけで綴られる本への橋渡しとなるような本との出会いが、その後の読書の世界を広げてくれるのではと期待しています。