読書と読解力って関係あるの?

読書量を増やすことは読解力向上につながるのか

中学受験国語の指導をしていてよく聞かれる質問。
勉強会などを経て、ようやく考えがまとまってきましたので自分の思考の整理を兼ねてこちらに記しておこうと思います。

結論から申し上げれば、読書量が多いことと読解力の間には、相関関係はあれど因果関係的なつながりはないように思います。
それでも、私が良質な読書を勧める理由は、経験をベースとしてこそ想像力を働かせることができると考えるからです。

中学受験の物語文、心情読解問題のメインは、登場人物の身の上に起きたできごとを読み取り、心情表現を考えることです。扱われる文章の中には、戦時中、戦後の日本など時間的背景が異なったり、いじめ、離婚、死別、などどうしてもこれまでの経験、見聞きしたことではイメージがつきにくい世界が広がります。

このような12歳の子どもの経験でカバーできない部分は、本の中で疑似体験することで補ってほしいと思うのです。もちろん、読解問題は想像して解くものではありませんが、自分が遭遇したことのない状況や感じたことのない気持ちを読み取る際にその疑似体験を含む経験が土台となっています。ある程度の「常識」があってこそ、読解問題の解説の言葉が通じるように思います。

説明・論説文においても、見慣れないテーマや言い回しにどれだけ慣れているかが抵抗なく読み下す為に必要です。とはいえ、やはり普段の読書で説明的文章はハードルが高いもの。わたしはこう言った文章は、塾やテストの問題文の中で触れていけば十分なものと感じています。問題意識をもって読むことで少しずつ体の中に取り込まれていくはずです。

語彙力の多さは武器になりますが、自分が現時点で知っている言葉を駆使し、前後の文脈を元に意味を類推する力、これがあってこそ本当の読解力ではないでしょうか。

初めて出会う言葉や文章を浴びたときに、自分の中に受け入れるだけのキャパシティを作ることをイメージし、それらを頭の中で咀嚼するための丈夫な歯を作る為に日々の読書があってほしいと考えています。

12歳におすすめのオムニバス本

今回紹介するのは、1冊の中でいろいろな立場、目線のエピソードが詰まっている2冊です。どちらも高学年向き。学校生活を舞台にしたオムニバスの形式で1章ごと完結なので(もちろんつながりはありますが)時間がない受験生にも読みやすいのでは。

いつでも自分はこう思う、ではなくて、こういう考えの人もいるんだ、わたしだったらこんなときこう言っちゃうけど言えない人もいるんだ、、など自分と違う考え、想いを持つ人がいることを本の中でたくさん味わってほしいと思います。

重松清『きみの友だち』

いくつもの学校で出典として扱われているほか、サピのBテキスト(長文読解)国語でも取り上げられています。主人公の設定自体はありふれたものではないけれど、「友だちってなんだろう、どういうものだろう?」という問いかけが1冊通して読者に投げかけられています。

ネタバレになるのであまり書きませんが、「死」についても触れています。特別に恐れるものとしてではなく、こういうことももしかしたら自分のまわりでおこるかもしれないな、と思わせる自然な書きっぷりはさすが重松清さんですね。少し大人びた性の話題も入っていますので、気になる方は検閲をかけてください。(重松さんの本は、子どもが主人公だからといってどれもこれも子ども向け、というわけではなく、たまにおっと!というような描写がありますので)

森絵都『クラスメイツ』

2014年に出て、2015年中学入試で学習院、学習院女子、海城、法政大学第二、日本女子大府、同志社女子、、多い!まるで中学入試のために書かれたような短編オムニバスに先生たちも飛びついたかんじでしょうか。

24人のクラスメイトたちの目線でクラスの1年を書き切るというあまりないスタイルです。同じ子でも、誰の目線かによって書かれ方が違うので、前に戻って読み比べたり、クラスの様々な人間関係を思い浮かべながら、自分がクラスメイトだったらと想像しながら読んだりと楽しく読み進めてみてください。

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