一人でどんどん進めてほしいけど・・・
共働きのご家庭も、そうでないご家庭もいろいろなタイミングで子どもが一人で勉強する時間は少なからずあると思います。目を離している間にやるべきことが終わっていたらどんなに素晴らしいことでしょう。
でも、なかなか思い通りにいかないのはどのご家庭も一緒です。お仕事から帰ってきて、「やっときなさいって言ったのに全然進んでないじゃない!」なんていうのは日常茶飯事。イライラ原因の一つですよね。
よく、自主性に任せている、やるかやらないかは本人のやる気に任せると言いますが、子どもが勉強しているその空間、自主性ややる気をうまく発揮できる環境でしょうか?
環境を整えることでやるべきことが見える化する、やるべきことが終わったときの達成感、充実感が増すなど、いろいろな効果があります。本人のやる気スイッチを探すばかりでなく、環境づくりも大事なサポートです。仕組みづくりが、親子のいざこざストレスを減らすきっかけになれば。
仕組みづくりは親の仕事
お片付けの話は家全体になるとキリがないので、勉強スペースの整理整頓、お片付けについてに限ってお話していきます。また、あくまでも子どもの良い勉強環境を作るための方法論ですので、物の量を減らす断捨離とは考え方が異なること、ご了承ください。
整理とは、必要・不必要を区別し、不必要なものを取り除くこと、と定義されています。
- 不要なもの→取り除く
- 必要なもの→並べ替えて区別、分類する
取り除く=捨てると思うとハードルが高いのですが、今使っているものを使いやすくするためにその場から「取り除く」ことです。本来の目的で使いやすい場所に引っ越しさせるのも取り除くことの一つです。
この考えでいくと、遊びのものと勉強のものが混在してるのはあまりよくない環境。大人も誘惑物がまわりにあるときになかなか集中力が続かないことは、実体験をもって感じていますよね。
整理整頓によって遊びと勉強を切り離すこと。このことで勉強を始めやすくなり、取り組んでいる最中も気が散りにくくなります。集中とリラックスの分離が大事です。
本来ならばこの考え方を親子でわかって一緒にお片付け、が理想なのですが、そんなことも言っていられないので、中学受験においての仕組みづくりは親の仕事だと思っています。
一人でできる仕組みとは
では、親がいないときに子どもが一人で勉強を効率的に進めるためにはどんな工夫が必要でしょうか。取り組む側の子どもの目線、後からチェックする親の目線、双方から考えたときに、以下お話する3つのポイントを押さえていればやりやすいのではと思います。
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やるべきことが具体的に見えていること
やるべきことの見える化は、一人でやるやらないに関わらず、とても大事なこと。高学年だったら「やることリスト」として書いて消し込んでいくのでいいと思います。
慣れていない子だったら科目、テキストだけではなくこのテキストのここをやるよ、とページごとに付箋をつけるなど、自分がやらなければいけないことを視覚で認識できるようにします。
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やるべき量と質が適正であること
1つのタスクの指示は、やるべきことが明確という意味ではいいのですが、同じ作業をずっとというようなやり方は集中力が切れるのもはやいです。一人でやるならなおさらなので、いくつかの種類のタスクを用意することをおすすめします。
また難しすぎる問題はNG。わからない問題続きでは次のタスクに行く前に心が折れてしまいます。毎日やらなければいけないルーティンワークや、既習の分野の中でわかるものとわからないものを仕分けする時間として取り組むのは効率的です。
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まだのものと終わっていないものを判別できること
これが達成感につながります。
終わったらチェックボックスに印をつける、でもいいのですが、視覚的に終わった!という感じを本人が味わうことがポイントです。終わったものを入れる場所を作っておいて、そちらにテキストを入れるようにしたり、付箋で管理するならば「終わった」場所に付箋を移動させたりという方法がよさそうです。
リビング勉強か自室の机か
勉強をする場所についても触れておきます。
リビング勉強の方がいいでしょうか?
この質問をよく受けますが、基準は遊び、リラックスと勉強とをうまく切り離すことができるかです。少なくとも今なにをやっているかが横目でも見られるリビングは、進捗管理のしやすさといった面でおすすめです。
ただ、ご兄弟やテーブルの広さなどいろいろな制約があって、いつでもリビングは難しい場合、自宅受験のテスト、時間を決めて集中してやるべき計算などは、自室で取り組み、はじめと終わりの時間だけ声掛けしてあげるというやり方をしていらっしゃるご家庭もあります。
また机がない場合、パーテーションがわりのシェルフやカーテンで半個室の環境を作るだけでもぐっとやりやすさが違います。
自室の机が勉強道具の物置になっているのは本当にもったいない状態。そこで勉強しないのなら、リラックス用の机にしたっていいと思います。目的は「自室の机で勉強すること」ではなく、「集中しやすい環境で勉強すること」ですから、その目線で環境づくりをしてみてください。
ちなみに・・・
わたしがお片付け、にスイッチが入ったのは環境のせいで出来ていないのに叱られている子どもたちがかわいそう、もったいないと思ったからです。とはいえ実家も物が多め、捨てられない病の母に育てられたので整理整頓はコンプレックスでした。
そんなとき「整理収納教育士」という資格に出会い、環境を整えるだけではなく、子どもが整理収納スキルを身に着けることの意味を感じ、勉強し続けているという次第です。
これまで出会ったご家庭の中には、中学受験のコーチングとして伺ったけれど、環境づくりも併せてお願いしますというご要望で対応したものもありました。
具体的な取り組み例も今後ご紹介していきたいと思います。