本読み記録005/安田夏菜『向こう岸』(2020灘)


・第59回日本児童文学者協会賞受賞作品
・貧困ジャーナリズム大賞2019特別賞受賞作品
・国際推薦児童図書目録「ホワイトレイブンズ」

灘の2020年度の出典本。
テーマは貧困、格差。
今年度の出典本を読み漁る中で出会った1冊です。読むときは問題として引用された箇所は調べずに向きあうのですが、どこを切り取っても問題になりそうな話展開、、となると来年以降もどこかの学校で扱われるかなと勝手に想像しています。

“中学生の前に立ちはだかる「貧困」というリアルに、彼ら自身が解決のために動けることはないのだろうか。
講談社児童文学新人賞出身作家が、中三の少年と少女とともに、手探りで探し当てた一筋の光。それは、生易しくはないけれど、たしかな手応えをもっていた――。”

生活の格差、特に子供たちにとっては生活保護と言うワード自体、普段の生活の中では耳にしない言葉でしょう。読後感もいいし、文体は読みやすい。でも内容は重め、日々生活する中では感じにくいけれど知ってほしい大切なことが詰まっていました◎

今、自分がいる世界がすべての子どもたち、向き合う相手と自分との「違い」に気づいたときに、相手を少しでも理解したいと思う気持ちを持てる子であってほしいなと思います。

フィクションなのにジャーナリズム大賞を取っているところに、この問題の伝えにくさを感じます。本当の世界はきっともっともっと救いがないと思うけれど、こうして本を読む子どもたちにその世界をどーんと投げつけても受け止めきれないでしょう。まずは白黒つけにくい知らない世界があることを知ることからかなと。

気になる灘の出典ページは主人公と母親のやり取りのシーン。気づかず無意識のうちに子どもに価値観を押し付けていないだろうかとドキッとさせられます。児童書だからといって侮るなかれです。

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